双極性障害に効果的な気分安定薬とは?

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双極性障害で、気分安定薬を服用している方は多いのではないでしょうか。気分安定薬は脳神経に作用し、気分の波を和らげる作用を持ちますが、気分安定薬にもいろいろな種類があります。

自分が服用している気分安定薬の特徴やメリット・デメリットを知り、自分に合うお薬を探しましょう。

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気分安定薬とは?

気分安定薬とは、気分の波を和らげる作用を持つお薬の総称です。現在の高い気分(躁状態)・低い気分(うつ状態)を改善させるだけではなく、今後の異常な気分の高低を予防する効果もあります。

しかし、気分安定薬は、飲めばすぐに気分が落ち着くお薬ではありません。数日から数週間は服用を続けなければ効果を発揮しません。これは、神経を保護することで、神経のはたらきを整えるためではないか?と考えられています。

気分安定薬の種類と特徴

病院で処方されている主な気分安定薬には、4種類あります。

  • リーマス(一般名:炭酸リチウム)
  • デパケン(一般名:バルプロ酸ナトリウム)
  • ラミクタール(一般名:ラモトリギン)
  • テグレトール(一般名:カルバマゼピン)

どのお薬も、神経の電気活動を安定化させ、気分の波を和らげると考えられています。また、躁状態を抑える作用が強いもの、うつ状態を持ち上げる作用が強いものなど、お薬によって特徴も異なります。

気分安定薬の特徴としては、

  • 抗躁作用(躁状態を抑える)
  • 抗うつ作用(うつ状態を持ち上げる)
  • 再発予防効果(気分の以上な波の出現を抑える)
  • 安全性(副作用が少ない)

などがあります。

リーマス

リーマス(炭酸リチウム)は日本では1980年に発売されていますが、世界的にみると1800年代には気分安定作用が報告されている、長い歴史を持つお薬です。

リーマスは、躁状態を抑える作用に優れ、うつ状態を持ち上げる作用もあります。また、現在の気分の波を改善させるだけでなく、気分の異常な波を出現させにくくするという再発予防効果もあります。

衝動性(深く考えず、その時の気分で行動してしまう)を抑える作用に優れていることから、自殺予防効果もあるといわれています。

ただし、服用量が多くなってしまうとリチウム中毒になる可能性があるため、リーマス服用中は、定期的に血液検査をする必要があります。また催奇形性(赤ちゃんに奇形が生じてしまう)があるため、妊婦さんが服用する事は出来ません。

デパケン

デパケン(バルプロ酸ナトリウム)は1975年から発売されている気分安定薬です。
デパケンは、躁状態を抑える作用は優れ、リーマスとほぼ同等の効果があると言われています。

躁状態にも、機嫌が良い・イライラしているなど色々な状態がありますが、デパケンは、不機嫌・易怒的な躁状態・混合状態(躁とうつが同時に出ているような状態)・ラピッドサイクラーの躁状態などに向いていると言われています。

抗うつ作用はほとんどないと考えられています。再発予防効果もありますが、リーマスほどではありません。

副作用は多くはありませんが、肝臓に負担をかけてしまうことがあります。また、催奇形性がありますので、やはり妊婦の方は服用できません。

ラミクタール

ラミクタール(ラモトリギン)は2008年に発売された気分安定薬です。
うつ態を改善させる効果・再発予防効果があります。

抗躁作用はあるという報告も、ないという報告もあり、効果があるのかないのかはわかっていません。

しかし、抗うつ作用がしっかりとあるのはラミクタールの大きな長所です。また、気分安定薬の中で唯一、催奇形性を認めないというのも大きな利点です。

ラミクタールのデメリットとしては、急激に増量すると、重篤な皮膚障害が生じることがあります。そのため、ゆっくりと増量しなければならないので、効果を感じるまでに時間がかかりますが、安全性は高いお薬です。

私は以前、ラミクタールを服用していましたが、効果を感じる前に挫折してしまい、服用をやめてしまいました。

テグレトール

テグレトール(カルバマゼピン)は1966年に発売されたお薬です。テグレトールには、躁状態を改善させる効果、再発予防効果があります。

テグレトールは抗躁作用はしっかりとしていて、再発予防効果はあるものの、報告が多くはありません。また、抗うつ作用は明らかではありません。

テグレトールのデメリットは、副作用の多さです。催奇形性もあるため、妊婦さんには使えません。重篤な副作用の報告もあるため、積極的には使われず、他の気分安定薬が合わない場合に、検討されることが多いお薬です。

症状に応じた気分安定薬を選ぶ

気分安定薬を用いる際は、それぞれの状態に応じて選択する事が大切です。それぞれの状態での気分安定薬選択の考え方を見ていきましょう。

躁状態を抑える

躁状態を抑える時に、まず検討する気分安定薬としては、リーマス(炭酸リチウム)・デパケン(バルプロ酸ナトリウム)があります。総合的な抗躁作用(躁状態を抑える作用)は同等ですが、得意とする躁の「タイプ」が異なります。

絶対的な決まりではありませんが、気分が晴れ晴れしている・なんでも出来る気がするといった典型的な躁状態にはリーマスが向いています。

反対に、イライラ、不機嫌、怒りっぽい・混合状態(躁とうつが混ざっている状態)・ラピッドサイクラーの躁状態にはデパケンの方が向いていると言われています。

またリーマスやデパケンが使えない場合は、テグレトール(カルバマゼピン)
を服用することもありますが、副作用の多さから、使用は慎重に考える必要があります。

なおリーマス、デパケン、テグレトールといった気分安定薬以外に躁状態を抑えるものとしては、抗精神病薬があります。

特に、比較的新しい抗精神病薬であるSDA(リスパダール、ロナセンなど)・MARTA(セロクエル、ジプレキサなど)・DSS(エビリファイなど)には躁状態に対する効果が認められており、しばしば用いられています。

うつ状態を持ち上げる

うつ状態を持ち上げる際に検討される気分安定薬には、ラミクタール(ラモトリギン)・リーマス(炭酸リチウム)があります。

しっかりと躁状態を持ち上げてくれるのはラミクタールです。しかし、ラミクタールは少しずつ増やしていかないといけないため、効果が出るまで時間がかかるというデメリットがあります。

リーマスは、抗うつ作用はラミクタールに及びませんが、ラミクタールほど、増量に時間はかかりません。デパケン、テグレトールに抗うつ作用はほとんどなく、これらは抗うつ作用を期待しては用いられません。

なお、気分安定薬以外に双極性障害のうつ状態を改善させるお薬としてはMARTA(セロクエル、ジプレキサなど)・DSS(エビリファイなど)があります。

ちなみに「抗うつ剤」も時に双極性障害のうつ状態の改善に用いられる事がありますが、抗うつ剤は躁状態を誘発してしまうこともあるそうです。

再発を予防する

双極性障害の場合、気分が安定しても今後また躁状態・うつ状態が出てくるかもしれません。このような再発を予防するためには、リーマス(炭酸リチウム)・デパケン(バルプロ酸ナトリウム)が効果的です。

リーマスの方が再発予防効果がしっかりとしています。デパケンは、効果は劣るものの、長期服用するに当たって安全性に優れるというメリットがあります。

ラミクタール(ラモトリギン)も安全性に優れ、再発予防効果もしっかりとしています。ラミクタールの場合、催奇形性がないという重要なメリットがあるため、妊娠可能年齢である女性の双極性障害の維持治療薬として適しています。

気分安定薬以外に再発予防効果を認めるお薬には、一部の抗精神病薬「セロクエル(クエチアピン)・ジプレキサ(オランザピン)・エビリファイ(アリピプラゾール)」などがあります。

気分安定薬を用いる疾患

気分安定薬は、双極性障害に用いられているお薬です。しかし、双極性障害以外にも使われることがあります。

うつ病・不安障害

うつ病や不安障害は基本的には、抗うつ剤が治療薬として用いられ、気分安定薬は治療の主役とはなりません。しかし、抗うつ剤が十分に効かない場合には、少量の気分安定薬を用いる事があります。

発達障害

アスペルガー障害や自閉症などの発達障害に対して、気分安定薬を用いる事があります。主に衝動性や爆発性・易怒性を抑えるために用いられる事が多く、「カッとなりやすい」タイプの方にはしばしば処方されます。

認知症

認知症に対しても、気分安定薬が処方される事があります。発達障害と同じく、易怒性やイライラ、興奮を落ち着ける目的で時に処方されます。

てんかん

気分安定薬は、脳神経の興奮を抑える作用を持っています。そのため、気分安定薬のほとんどは、抗てんかん薬としても用いられています。

デパケン(バルプロ酸ナトリウム)・ラミクタール(ラモトリギン)・テグレトール(カルバマゼピン)のいずれも、てんかんを抑える抗てんかん薬としても用いられます。

偏頭痛などの痛み

気分安定薬は、脳神経の興奮を抑えるため、脳神経の興奮が一因で生じている痛みに対してしばしば効果を認めます。

デパケン(バルプロ酸)は偏頭痛に対して適応を持っていますし、テグレトール(カルバマゼピン)も三叉神経痛に対して適応を持っています。

反復性過眠症

過眠症の中でも反復性過眠症と呼ばれる、過眠症状を不定期に繰り返す疾患があります。この反復性過眠症には、気分安定薬が有効であることが知られており、しばしば治療薬として用いられています。

それぞれに特徴があり、効果も違うので、自分の疾患の程度や症状に応じて、医師と相談しながら、最適なお薬を選ぶことが大切です。

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